「エルサレム」亭の静かな対決 / マーサ・グライムズ
この作品で私が読んだのはまだ3作目だが、今のところ、これが一番かもしれない。実際にはシリーズ5作目なのだが、途中の作品と、なかなか出会えないのである。グライムズはアメリ人なのだが、イギリスのあのどんよりとしたイメージをうまく描いていると思う。たぶん、イギリス人がみたら、ちょっと違う、と思うのだろうが、外人からみたイギリスというイメージでいえばピッタリなのだ。クリスティのようなゴージャスさはない。どちらかといえば、ホームズのようなイギリス(時代は現代だけど)のような気がする。ミステリとしては、トリックが弱いけれど、人物描写はうまいよな、と思うのだ。ワトソン役のプラントが、気持ちのよいほどジュリー警視を理解しているのが、うれしい。