萌がさね 藤原道長室明子相聞 / 鳥越碧
時代ものとすべきか、恋愛ものとすべきか迷ったが、話の中心が明子と道長の恋愛模様なので、あえて恋愛とした。左大臣家に生まれながら、政敵藤原道長へ嫁ぐことになった明子。心に藤原実資を思いつつ、当時粗暴といわれるような力強い道長のもとにいくこととなる。紫式部や清少納言の時代、恋愛といってもあちこちに女性をつくる男性が多いなか、正妻倫子と”二人妻”といわれた明子の生涯が語られる。その時代にいきた人であれば、明子の人生感には大いに違和感を感じたかもしれない。現在に生きる私でさえも、政治家の妻には向かないよなぁ、とつくづく感じた。そこは、正妻の倫子にまかせていたせいもあるだろうが。なんとも、人任せな女性、現実を見ない女性だなぁ、というのが率直な感想か。作品としては、力強いわけではないけれど、先が気になってどんどん読み進めてしまったという感じ。